大会教宣展
私鉄総連第88回定期大会教宣展入選作品
第88回定期大会教宣展(20年8月~21年5月31日の間の作成作品を対象)ならびに第51回機関紙講評(20年8月~21年5月31日の間に作成・発行)は、4月上旬より募集対象7部門の作品募集を行い、850点の応募をいただき、審査を行いました。
たくさんのご応募、ありがとうございました。
- 単組紙の部…応募22紙
- 審査員 水嶋 清光(仕事と暮らしの研究所コミュニケーションフォーラムマスター)
- 職場新聞の部…応募85紙
- 審査員 水嶋 清光(仕事と暮らしの研究所コミュニケーションフォーラムマスター)
- 写真の部…応募114点
- 審査員 松本 仁成(写真家)
- 漫画の部…応募32点
- 審査員 上原 章(イラストレーター)
- かべ新聞の部…応募24紙
- 審査員 水嶋 清光(仕事と暮らしの研究所コミュニケーションフォーラムマスター)
- ポスターの部…応募22点
- 審査員 上原 章(イラストレーター)
- 川柳の部…応募551点
- 審査員 刑部 仙太(下野川柳会副会長兼編集局長)
審査の結果、中央執行委員会は、入選39作品を決定。
全応募作品は、大会期間中の教宣展で掲示しました。(川柳は入選作品のみ)
入選した組織および個人は、大会2日目に表彰させていただきました。
本ホームページでは、審査員の総評ならびに入賞・最優秀賞作品を掲載いたします。
単組紙の部

入賞:「私鉄新聞 地下鉄」
関東地連 東京地下鉄労働組合

入賞:「東急バス」
関東地連 東急バス労働組合

入賞:「前照灯」
関東地連 関東バス労働組合

入賞:「私鉄阪神」
関西地連 阪神電気鉄道労働組合

入賞:「私鉄新聞阪急バス版」
関西地連 阪急バス労働組合

入賞:「西鉄組合新聞」
九州地連 西日本鉄道労働組合
職場新聞の部
総評
目立つ女性編集者の活躍 自分の言葉で伝える大切さ
審査員 水嶋 清光(仕事と暮らしの研究所コミュニケーションフォーラムマスター)
昨年は新型コロナウイルスの影響か、11単組64紙の応募に留まりましたが、今年は打って変わって14単組85紙と過去最大の応募になりました。
コロナ禍が一年以上も常態化し従来の活動が大きく制限されるなか、逆に組合としてやらなくてはならないことは増えています。その最たるものが組合員との情報の共有です。
組合行事やイベントが開催されないなか、職場機関紙で共有する情報の中身に変化が現れています。行事報告も含めニュース記事ではなく、参加した組合員を登場させそのリアルな声でまとめる記事が増えています。
組合員が多数登場することで、書かれた内容への親近感が湧き、関心や共感も生まれやすくなります。またイベントが行われなくても、仲間の考えや行動を伝えることで置かれた状況の共有ができます。
エッセンシャルワーカーであることの悩みや、コロナが仕事自体にダイレクトな影響を及ぼしている職場ほど、機関紙に書かれたリアルな声に組合員の関心が集まります。
今回の応募作品の特徴として、単組として集中的な取り組みをしているところが多数あり、単組ごとの取り組みの特色が出ています。
また、関西勢のがんばりが目立ちました。組合員がたくさん登場するのに加え、書かれた内容がよりリアルで具体的なところが印象的です。自分の言葉で伝えることの重要さを改めて痛感しました。
女性編集者の活躍も目立ちました。女性だから選んだわけではなく、従来と異なる視点からの切り口が新鮮な紙面を選んだら、たまたま女性編集者が作成したものでした。
来年はさらに応募紙が増えることを期待しております。

最優秀賞:「西神支部通信」
関西地連 神姫バス労働組合
西神支部
写真の部
総評
バスの作品が多数、コロナ下での負の被写体にあえて挑戦した作品に敬服
審査員 松本 仁成(写真家)
今回の応募数は19単組114作品の応募がありました。
昨年からの新型コロナウイルスの影響で、写真を撮る機会が少なくなっています。
そんななか、114点の応募があったことは、みなさんの努力の賜物と思います。
今年の応募の特徴ですが、バスの作品が多かったこと、特に車庫に多くのバスが駐車している作品は、非常に難しい被写体ですが、コロナ下での負の被写体にあえて挑戦した作品には敬服です。
その他、風景、職場、スナップと多くのテーマにチャレンジされていて、入選されなかった作品にも多くのいい作品がありました。
反面、何をテーマに、何を目的にしているかが解りにくいところもありました。
写真の撮り方に決まりは無いのですが、シャッターを切るとき、何かを感じてシャッターを切ったのですから、その感じたものをアピールするか、より印象付けるためどうするか、構図なり、アングルに気をつけて撮って欲しいです。
新型コロナウイルスで、労使とも疲弊しているなか、早く収束して、自由に写真が撮れるようになって欲しいと思います。

最優秀賞:「赤い絆、連結!!」
中部地連 遠州鉄道労働組合
鉄道支部 金原 佑樹
漫画の部
総評
さらに高みをめざし、全体のレベルアップをはかってほしい
審査員 上原 章(イラストレーター)
漫画の部は全部で32作品もの応募がありました。ポスターの部同様に話題の新型コロナに関する作品が多く寄せられました。
そのなかから今回は最優秀賞として、大竹さん(東京地下鉄労組)の作品を選ばせていただきました。ほかの作品と少しばかり異質な作品に仕上げられています。
優秀賞はコロナを題材にして作品をつくった、大下さん(東武鉄道労組)が初受賞となりました。佳作は受賞常連の、中森さん(名古屋鉄道労組)と菊池さん(岩手県交通労組)のお二方が受賞となりました。
漫画のおもしろさはいろいろあると思いますが、思わず吹き出してしまう漫画もあれば、風刺のきいた深みのある漫画もあります。当たり前の事柄を当たり前に描くだけでは漫画になりません。受賞された方々の作品は、例外なくひとひねり加えてあることがわかると思います。
最近はたくさんの応募があってたいへんうれしく思います。受賞者は満足することなくさらに高みをめざし、全体のレベルアップをはかってください。

最優秀賞:「新しいごりん大会」
関東地連 東京地下鉄労働組合
日比谷・東西支部 浦安駅務管区分会 大竹 昭彦
かべ新聞の部
総評
情報に飢えている組合員が求めるのは じっくり読み考えさせられる情報
審査員 水嶋 清光(仕事と暮らしの研究所コミュニケーションフォーラムマスター)
今年の応募紙は昨年よりさらに減り、24単組24紙に止まりました。長引くコロナ禍によって、組合の活動自体が大きく制限されています。その影響が「かべ新聞」にも出ているようです。かべ新聞をつくる作業そのものが「密」になるため集まれず、発行自体が停滞しているとの声を多数聞きます。
しかしながら、一方で大きな変化も現れています。コロナが長期化するなかでできる活動や情報の発信。また、新たな共有するための活動を模索する組合も増えています。
エッセンシャルワーカーの交通労働者はコロナ禍でも業務は変わりません。自身や家族の感染のリスクがあるなか、日常の業務を行っており、また、交通機関の利用が大幅に減り経営的にも労働環境も厳しさが増し、組合員は不安な毎日を送っています。
そんななかで、組合員は情報に飢えています。それも身近な、より具体的な情報が不足しています。そのため、発行された情報(かべ新聞)は普段以上にじっくり読まれます。また単に、読み流すのではなく、自分自身でも考えるようになっています。ですので紋切り型の表現よりも、じっくり読み考えさせられる内容が好まれる傾向が強くなっています。
いま組合員に必要とされているのは、発信される情報への「共感」と「納得感」です。それらが一番反映されているのが組合員自身の言葉で語られた情報です。そしてそれが人を動かす原動力になります。
今回、応募されたかべ新聞は、数こそは少ないですが、そうした状況を反映した作品が多数応募されていました。
また、今回の審査では優れた作品が多く、実力が伯仲していたため選ぶのに苦労しました。そのため、特別賞を無くし、優秀賞を3点に増やしました。
最後に、惜しくも入賞を逃しましたが最後まで候補として残った作品名を記して、その努力を讃えたいと思います。『私鉄岩手県交通』(岩手県交通労組・大船渡支部)、『かべしんぶん』(知多乗合労組・ガイド分会)。
今回応募されたかべ新聞の良い点を参考にし、コロナ禍だから出来る職場での情報共有の新たな手法を取り入れ、来年のコンクールに多くの作品が応募されることを期待しております。

最優秀賞:「なかま」
中部地連 三重交通労働組合
伊賀支部 増田 至功
ポスターの部
総評
視覚性、共感性といった観点から選考
審査員 上原 章(イラストレーター)
ポスターの部は全部で22点の応募がありました。以前と比較して今回はコロナ疲れのせいなのか、全体的に強いインパクトを残すような作品が見られませんでした。
昨年春から世界中がコロナパンデミックで混乱し、一年以上経っても終息に至っていません。そんなコロナ禍で足をすくわれた感のある21春闘、難しい対応を迫られた労働界でもありました。
正直言って今回は選考にとても苦労しました。通常であればポスターとしてインパクトがあり、はっきりとした主張性の高い作品を自分なりの選考基準としていたのですが、今回はどちらかといえば視覚性、共感性といった観点から選考しました。
最優秀賞は東濃鉄道労組の寺澤さん。優秀賞は北陸鉄道労組の小泉さんと、越後交通労組の高野さんお二人の作品に決定しました。
佳作は福島交通労組の佐藤さん、アルピコ労組の三浦さん、近畿日本鉄道労組の笠井さんの作品を選ばせていただきました。
今回は惜しくも選外となりましたが、岐阜乗合労組の村上さんの作品はポスターではなく、漫画として作成していれば間違いなく受賞の対象になっていただけに残念です。

最優秀賞:「共にコロナを乗り越えよう!!」
中部地連 東濃鉄道労働組合
多治見支部 寺澤 学
川柳の部
総評
声に出して読み、完成度を高めて
審査員 刑部 仙太(下野川柳会副会長兼編集長)
今回の五五一句を拝見して思うことは、中八・下六の句が多数あったということです。こうした字余りの句はリズムも良くないしあまり評価されません。川柳は俳句と同様に五・七・五で詠むことが基本です。句が出来たら声を出して読みながら指を折って音字数を数えてください。舌にころがすことで別な言葉を発見することもあります。これが推敲にも繋がり、句の完成度を高めることになります。残念なことに一字の間違いがなければ入選したかも知れない作品がありました。
原 句:新天地地に足付けて歩き出す
修正句:新天地地に足着けて歩き出す
川柳をつくる上での指針となるものに川柳の三要素があります。
川柳の三要素
穿ち(うがち)=意外な側面から本質をえぐり出すこと。
おかしみ =滑稽な味
軽み(かるみ)=軽妙さ
これらを参考に今後も挑戦していただきたいと思います。
- 最優秀賞
- 「家族待つ 疲れた足も 早歩き」
関西地連 阪急電鉄労働組合 京都線鉄道支部 京都施設班 福本 尊
総評
求められる安心・信頼の情報 組織内議員の役割の浸透も重要
審査員 水嶋 清光(仕事と暮らしの研究所コミュニケーションフォーラムマスター)
今年の応募は、8地連22単組で昨年とほぼ同水準でした。応募総数は変わりませんが、応募された単組の入れ替わりが目立ちます。これまでの単組が一斉に応募されるとかなりの数になりますので、毎年コンスタントな応募に期待します。
コロナ禍が一年以上も常態化し、従来の活動が大きく制限されるなか、逆に単組本部としてやらなくてはならないことは増えています。
その最たるものが組合員への「情報の提供」です。
そしてそこで提供される情報で重要なのは、何を行ったかの経過報告ではなく、「なぜこうなったのか」「その結果どうなる」の原因分析や分かりやすい解説、そして組合としての行動の方向性の明確な提示です。
組合員は、日々の仕事と生活に不安を感じています。組合にはその不安を和らげるための情報を提供し共有する責任があります。
いま組合員が求めているのは「組織に対する信頼」と「安心」です。組合活動のなかで組合員に情報を共有する機会が極めて少なくなっているなかで、機関紙の果たす役割は極めて重要です。
その意味で昨年に比べ、多くの単組でニュース記事より解説的な記事が増えたことが特徴的でした。
また、コロナ禍だけでなく自然災害や交通労働者の置かれた厳しい状況は、個々の会社の労使間で解決できる問題ではありません。人手不足が深刻な労働現場の現状、人材確保の支援のための国や地方運輸局への対応には、組織内国会議員の存在が重要です。
そのことの理解を組合員に浸透させるのも機関紙の重要な役割です。