大会教宣展
私鉄総連第91回定期大会教宣展入選作品
第91回定期大会教宣展(23年8月~24年5月31日の間の作成作品を対象)ならびに第54回機関紙講評(23年8月~24年5月31日の間に作成・発行)は、4月上旬より募集対象7部門の作品募集を行い、908点の応募をいただき、審査を行いました。
たくさんのご応募、ありがとうございました。
- 単組紙の部…応募27紙
- 審査員 水嶋 清光((株)広報宣伝総合研究所代表)
- 職場新聞の部…応募69紙
- 審査員 水嶋 清光((株)広報宣伝総合研究所代表)
- 写真の部…応募120点
- 審査員 内村 文男(写真家)
- 漫画の部…応募30点
- 審査員 上原 章(イラストレーター)
- かべ新聞の部…応募24紙
- 審査員 水嶋 清光((株)広報宣伝総合研究所代表)
- ポスターの部…応募23点
- 審査員 上原 章(イラストレーター)
- 川柳の部…応募615点
- 審査員 島田 駱舟(印象吟句会 銀河主宰)
審査の結果、中央執行委員会は、入選39作品を決定。
全応募作品は、大会期間中の教宣展で掲示しました。(川柳は入選作品のみ)
入選した組織および個人は、大会2日目に表彰させていただきました。
本ホームページでは、審査員の総評ならびに入賞・最優秀賞作品を掲載いたします。
単組紙の部

入賞:「福交新聞」
東北地連 福島交通労働組合

入賞:「東武組合新聞」
関東地連 東武鉄道労働組合

入賞:「私鉄京福」
北陸地連 京福労働組合

入賞:「大交シティNews」
関西地連 大阪交通シティバス労働組合

入賞:「南海バスユニオン」
関西地連 南海バス労働組合

入賞:「竹とんぼ」
関西地連 神姫バス労働組合
職場新聞の部
総評
組合員への伝え方や伝える中身が大きく変化しつつある職場新聞
審査員 水嶋 清光(株式会社広報宣伝総合研究所代表)
今年の応募は15単組69紙と昨年より2紙増えました。
ここ数年で応募された職場新聞のスタイルが大きく変わりました。昨年以上に従来型の新聞スタイルのものが減り、自由な発想の紙面作りが広がっています。
最近の傾向として、従来の手渡しで配布するスタイルから、掲示板等への掲出をメインとするもの、SNS等電子メディアを使って配信するものが多数見受けられるようになりました。
また、記事中にQRコードを載せ他の媒体に誘導する企画も増えています。まだ、私鉄のなかでは少ないですが、Googleフォーム等を使ってアンケートやクイズ等を行い、組合員の声や意見を集めている単組や支部も多くなってきています。その結果として組合教宣の永遠の課題であった双方向性が現実のものとなりつつあります。
パソコンを始め新しい情報伝達機器を上手く扱える人が増えたため、新しいアイデアが盛り込まれた機関紙が増えています。
単組紙の部の講評でも書きましたが、従来の会議や行事・集会・諸行動を報告する職場新聞から、ともに働く仲間の直面する悩みや問題だけでなく、喜びをみんなで共有する場として機関紙(特に職場新聞)を位置づけることが必要なのだと思います。そうした議論が各労組で交わされることに期待しています。
今回惜しくも賞は逃しましたが候補として挙がった紙面は6紙。『したまち』(東京地下鉄労組)『でんき』(京成電鉄)『前進』(臨港バス)『P6桂乘』(阪急京都線支部)『クラッチ』(南海バス)『鶴町支部NEWS』(大阪交通シティバス)は入賞紙と最後まで競った素晴らしい作品でした。職場新聞のさらなる進化に期待しております。

最優秀賞:「ゆないと」
関東地連 臨港バス交通労働組合
上平間支部
写真の部
総評
作者の想いや伝えたいことを素直に伝える
審査員 内村 文男(写真家)
大会教宣展「写真の部」に31単組120作品の多くの応募ありがとうございました。
今回、前審査員の松本仁成さんの後を受け継いで審査をやらせていただきました。私は現役の時に私鉄総連写真活動に長く携わり、会社を卒業してからは写真家としてボランティア活動を行っています。またこうして総連の写真活動に携わることができうれしく感じています。
今回の審査にあたり選考基準として、作者が何を想い、何を伝えたかったかがわかる作品、その思いを上手く写真タイトルに載せた作品6点を選ばせていただきました。最優秀作品は「シャトルバス束の間の休息~紅葉色に染まって」この作品は1枚の写真が絵画のように写し出され、紅葉の景色にバスが溶け込んで、いかにも休息をしているように見える作品で、バスの気持ちを感じ取れる作品です。
今回の入選作品はどれもが作者の気持ち、我が子に思うねがい、伝えたいことが素直に伝わってきた作品を選ばせていただきました。選外に漏れた写真の中にもいい作品が多くありました。紙面の関係上紹介できないのが残念です。また次回の参加をお待ちしています。

最優秀賞:「シャトルバス束の間の休息~紅葉色に染まって」
中部地連 伊那バス労働組合
第一支部 桂 啓之
漫画の部
総評
家庭や職場のなかの身近な問題を意識
審査員 上原 章(イラストレーター)
今回漫画の部は30作品の応募がありました。岸田内閣の不人気ぶりにはあきれ果てるばかりですが、そんな背景もあってか、今回の作品も岸田首相を題材としたものが多くみられました。
そのなかから今回は最優秀賞として、中森さん(名鉄労組)の作品を選ばせていただきました。優秀賞は前田さん(東武鉄道労組)、佳作は成瀬さん(阪急電鉄労組)と菊池さん(岩手県交通労組)のお二方が受賞となりました。
似顔絵について受賞者の方は当然としても、選外となった方々のなかにもかなり上手な似顔絵を描かれている方もいて、全体的に技巧の上達がみられました。
昨年に引き続き応募総数は多かったのですが、あいかわらず抽象的な作品もありました。あえて注文をつけさせていただくなら、職場、家庭あるいは地域社会のなかにも多くの漫画の題材は転がっています。似顔絵作品にこだわることなく身近な問題を意識して作品化されてみてはいかがでしょうか。ご自身の経験したことでもいいですし、周囲の人々の話でもいいと思います。

最優秀賞:「揃い過ぎじゃないですか?迷役者が」
中部地連 名古屋鉄道労働組合
鉄道支部鉄道事業本部分会 中森 孝
かべ新聞の部
総評
ますます進化を遂げるかべ新聞は掲示板を通じて交わされる情報共有ツールに進化
審査員 水嶋 清光(株式会社広報宣伝総合研究会代表)
今年の応募紙は昨年と同じ24単組24紙でしたが新たな応募もありました。ここ数年、かべ新聞はレベルが上がり、見ごたえ・読みごたえがある紙面が増えています。見せ方の技術も向上していますが、それ以上にさまざまなアイデアを取り入れ、読んでもらうための工夫が随所でなされています。かべ新聞という媒体をどう活用すると組合員に伝わるかという企画面での進化が見て取れます。
今回は久しぶりに特別賞を設けました。かべ新聞が大型化するなかで歴代最小のB4判サイズです。大きさに関係なく「掲示」されたものは全てかべ新聞です。大きいから目にとまり見て貰える、という考えから大型化が進みましたが、いまは必要な情報があるのなら、掲示されている場所に足を運んででも見たいという、従来のプッシュ型とは異なるプル型の情報が求められつつあります。
そのため、かべ新聞も読みたくなる情報がコンパクトに分かりやすくまとめられたものが好まれるようになってきました。
今職場機関紙を中心に、従来の新聞スタイルではないコンパクトな職場機関紙を作る動きが広がっています。今回の特別賞受賞のかべ新聞はその手法の応用で作られたもので、これからのかべ新聞の新たな方向性になるかもしれません。
また、紙面にQRコードをつけてかべ新聞の作成過程の動画を観せるという紙面が今回初めて登場しました。私鉄ではまだ少ないですが、他産別の労組ではこうしたQR動画やGoogleフォームを使った情報共有が急速に進んでいます。今回の佳作になった作品は、私鉄での第一歩として評価しました。
最後に、惜しくも入賞を逃しましたが最後まで候補として残ったかべ新聞の名前を記して、その努力を讃えたいと思います。『INABUS バスガイド』(伊那バス労組・第二支部)、『かべしんぶん』(知多乗合労組・ガイド分会)、『うしおに』(宇和島自動車労組・青年協議会)。
入賞作品の優れた試みを参考にし、掲示板を通じた情報共有ツールとして、かべ新聞がさらに活用されることを期待しております。

最優秀賞:「私鉄岩手県交通」
東北地連 岩手県交通労働組合
大船渡支部 菅野 文勝
ポスターの部
総評
何を主張したいのか工夫することが重要
審査員 上原 章(イラストレーター)
ポスターの部は全部で23点の応募がありました。内訳は春闘ポスター13点、交通政策7点、その他3点となっています。
最優秀賞はアルピコ労組の三浦さん。年明け早々大地震に見舞われた北陸地連の仲間へのエールを表現したポスターを仕上げ、私鉄総連の連帯意識の重要性を訴えてくれました。優秀賞は福島交通労組の橋本さんと関西ハイタク労連本部の田中さんが受賞、佳作として東濃鉄道労組の加藤さん、神姫バス労組の津村さん、それに京福労組の鑑継さんの作品を選ばせていただきました。
今回寄せられたポスターは全体的に少しおとなしめで、インパクトのある作品は少なかったというのが印象です。そのなかで受賞された作品は何を主張したいのかそれなりに工夫のあとが見受けられました。

最優秀賞:「復興へこころは一つ」
中部地連 アルピコ労働組合
川中島バス支部貸切分会 三浦 望美
川柳の部
総評
身近にある幸せを感じる
審査員 島田 駱舟(印象吟句会 銀河主宰)
全作品を読み終えてまず感じたのは、幸せはずいぶん身近にあるものなんだ、でした。
交通関係の現場の仕事は時間的に厳しいものです。従ってその仕事を終えた解放感は一般的な仕事よりも大きく、解放感だけでも十分幸せを感じる作品が多くありました。このように感じる幸せの何と身近なこと、と羨ましくも思えました。
また、仕事を終えてからの行動にも身近な幸せが溢れていました。例えば一杯のビールです。どのような職業でも仕事帰りのアルコールはストレス解消の一つです。ですが、交通関係者は時間の制約があり自由に飲めない方も多いでしょう。制約が解けた後の一杯は何にもまして美味く幸せの味でしょう。
幸せは家族との関係からも感じられています。家族、特に子供のために頑張るのが幸せ、とは作品を読むほうも和ませます。これほど身近な幸せはないでしょう。作品から幸せのお裾分けをもらいました。
- 最優秀賞
- 「スーパーへ 今日の幸せ 買いに行く」
関東地連 秩父鉄道労働組合 施設支部 神田 陽介
総評
従来の機関紙から脱却した新しい機関紙の在り方を考える時期に
審査員 水嶋 清光(株式会社広報宣伝総合研究所代表)
今年の応募は、7地連27単組で昨年より地連は2減でしたが、応募数は1減で、昨年に次ぐ2番目に多い応募点数となりました。
今回は南海バス労組が単組の部で初めての応募です。組合員の手によるPC手作りの機関紙です。
昨年の総評でも書きましたが、OA機器や通信手段の急速な進化で簡単に作成でき、かつ送ることも可能になりました。それが組合機関紙の発行にも大きな変化を及ぼしています。
一番の変化は印刷と配布です。従来は印刷(業者外注も含む)をして拠点に発送し、そこから組合員に配布の形が基本でした。そのため時間とコストが掛かり発行頻度も制限されていました。いまは、印刷をせずに出来上がった紙面のデータをPDF化し、メールやLINEなどで送り、必要な部数だけ出力するところが増えてきました。また、組合員個々人への直接配布も少なくなり、掲示板等への掲示やスマホなどへの送信に変わりはじめました。
加えての変化は、紙面のカラー化が進みました。カラー紙面はモノクロに比べ受け手の情報量が格段に増えます。また、興味・関心も増します。その一番大きな要素が写真です。機関紙の写真はポートレートではなく情報です。文字で伝えるより写真で伝えた方がより分かるものは写真で伝えれば良い、というように情報伝達の手法も従来の形から変化して来ています。
これらのことをふまえて、従来型の機関紙から脱却した新しい組合機関紙(情報共有媒体)の模索を本格的に考えなくてはならない時期に来ていると思います。